
以前、腰上をオーバーホールした際に、ヘッド周辺には手を付けずに組んでしまったのですが、バルブ・
スプリングには、強化トリプルが装着されていた為、これをノーマル圧のダブルに変更する事にしました。
本来、強化バルブ・スプリングは、リフトや作用角が大きい高回転型のハイカムシャフトを用いた場合に
必要なパーツです。つまり、開閉量が多くなったバルブが、より高速で作動するので、スプリングを強化
しないと戻りが追いつかなくなる(バルブ・サージングを起こす)訳です。具体的に、どの程度のスペック
のカムから、強化スプリングが必要か?ハッキリした境界線は不明ですが、リフトが.500を越えたら、
ノーマル・スプリングではマズイかもしれません。
・・・で、私のバイクは購入時にソリッド・リフター用のハイカムが付いていましたから、強化スプリングは
妥当でしたが、後にハイドロリック仕様のマイルドなカムに変更し、更に現在はド・ノーマルの低リフト・
カム?に換えましたので、トリプル強化スプリングなど不必要になってしまった訳です。
ちなみに、リフトが然程高くないカムに、強化スプリングを組み合わせるのは無意味・・・それどころか、
バルブ駆動に余計な力が必要になり、フリクションやストレスが増大して害になります。ハイカムを装着
してサージングが発生し、それで仕方なくバルブスプリングを強化する感じです。レースでは出力優先
なので、耐久性は必要最小限で構いませんからね。それ以外の状況では、強化バルブ・スプリングを
選ぶ必要性はありません。

・・・とは言ったものの、専用の測定装置は持っていませんので、汎用のスケールとプレス装置を流用して
シート・プレッシャー(バルブが閉じた時のバネ長で、どれだけのバネ圧が掛かっているか)を測定しまし
た。写真のノギスにて、シート時のバネ長を合わせます。結果は166.5ポンド。応急処置な装置なので
数値は怪しいですが、しかしこれでもちょっと強過ぎます。ノーマルのシート・プレッシャーは、110ポンド
くらいだった筈。色々と試した結果、元々付いていたトリプル・スプリングの中心を抜いて、ダブル状態に
した物が、4組とも140ポンドで一致。せっかく買ったダブル・スプリングは、お蔵入りとなりました・・・

ついでに掃除しましたが、後で思わぬ不具合を発見する事に・・・

オリジナルに比べて、遥かに工作精度の高いヘッドです。バルブ・スプリングの座面だけを見ても、それは
納得できると思います。オリジナル至上主義のマニアには嫌われるS&Sヘッド(エンジン)ですが、S&S
を「只のカスタム・パーツ会社」くらいに思っているのなら大間違いです!H−D社が、かつてbPマークを
掲げる事が出来たのはS&Sの功績と言っても過言ではありません。
と、また余計な脱線話しに・・・。このヘッドは、一応はパフォーマンス・パーツですが、ポートの拡大などは
行われておらず、バルブ・サイズもスタンダード。あくまでストリート用のハイグレード・パーツと言った感じ。
一応インテーク・ポートは、ハイフローを意識した工作が成されていますけどね。
バルブ・ガイドは鋳鉄製です。日本ではリン青銅が多く用いられる様ですが、私は鋳鉄製が好きですね。
昔のV8エンジンでも、鋳鉄製以外は見た事がありません。エンジン・デザインとの相性があるのでしょう。
(余談ですが、ヘッドに刺さっているプラグは、単に栓をするための自動車用廃プラグです)

一番上で、スプリングのシート圧を測定しましたが、スプリング張力が4本同一だったと仮定するならば、
ここでのセット長も、4つ全て均等にする必要があります。要するに、バルブが閉じた時のシート圧を
均等にする訳です。極端な話し、もし一本だけ弱いスプリングがあったならば、そのスプリングのセット
長は、シムなどを噛ませて小さくする訳です。そうすれば、シート圧は高くなって、他の3本と等しくなり
ますからね。但し、これは誤差を無くする作業であって、規定外にヘタった廃スプリングに、下駄を噛ま
せて再利用する作業ではありませんよ(理屈は似ているが)。
作業手順としては、先ずスプリング圧を測定し、それが全て均一であったならば、セット長も均等になる
様に、シムで調節します(バルブの沈み込み具合で、長さはバラバラなので)。もしも、スプリング圧が
不均等であったならば、圧力が均等になった時点でのスプリング長を計測し、セット長もそれに合わせ
る訳です。新品のブランド・パーツを買った場合、大抵は均一なバネ圧ですが、中古を再利用する場合
などは、後者のセッティングが必要です。

左の二枚がシムで、右がロアー・シートです。シムはロアー・シートの下側(ヘッドとの間)に入れます。
シムは厚さに種類がありますが、入れるのは精々2〜3枚です。何枚も重ねて「嵩上げ」の様な事は
してはいけません。