先ずはピストン

クランク・ケースも開けるつもりだったのですが、ストローカー・クランクは予想に反してキッチリ組まれ、不具合が
一切無かったので手を付けず。恐らく、重要な部分は専門のショップが行ったのでしょう。ピストンやシリンダーも
異常なし。ただ、ピストンは何物か不明の品で、ドームが低く、圧縮圧力が70psiに満たなかったので、これは
S&S製に交換する事にしました。そもそも、S&SストローカーにはS&Sピストンとシリンダーが組まれるべき。
この車のシリンダーは140ドルくらいで買える安物が付いていました。恐らく、S&Sストローカーだけショップに
組ませ、腰上は自分で安物を組み上げたと思われます。とは言え、インスペクションの結果、安物シリンダーに
不具合はありませんでした。S&S製シリンダーは300ドルもしますから、とりあえずシリンダーは古いのを使い、
ピストンだけS&Sを組む事にました。

パッと見だけでもこれだけ違います。本来ならば容積を測って圧縮比を求めるところですが、ヘッドがS&S製の
3−5/8ボア用が付いていたので、これにS&Sのストローカーとピストンを組み合わせれば全てOKな訳です。
簡単に計測した結果、8.5くらいの圧縮比になると思われます。今までは7チョイくらいだったのかな?ハーレー
では「ローコンプの方が高回転まで軽く回る」などと言う事を聞きますが、私には理解できません。車のレーシング
エンジンでは圧縮比を下げる理由はデ・チューン以外何一つありません。ターボやブロワー付きエンジンが、フル
・ブースト時に合わせて圧縮比を予め低く設定する事はありますけどね。

とにかく、これで少しパワーは上がる筈です。その分、発熱量も上がるので、オーバーヒートが心配ですが・・・
あと一つは、始動時にセルモーターが回し切るか・・・?







シリンダーのホーニング

上の道具を使ってホーニング(研磨)を行います。シリンダー内壁に斜めの傷を付け、油のりを良くする為です。
銃のバレル同様、鏡面ではマズイ訳です。段つき磨耗や大きな傷があれば、ボーリング(切削)が必要ですが
このシリンダーはその点問題なし。ピストンもスタンダード・サイズ(3−5/8ボア・サイズでの)です。

ギューン!
これはかなりコツが要ります。均等に斜めの傷を付ける必要があるので、素早く、フルストロークで
「ズバッ!ズバッ!」と前後させるのです。定位置で回すと真っ直ぐの横線になってしまいますからね。







悩みどころのリング・ギャップ

私が思うに、ハーレーダビッドソンの、特に排気量を上げたチューンド・モーターでは最も難しい
セッティングと考えます。元々付いていた古いピストン・リングには、ピッタリと隙間が詰まって
リングがボアに張りつめた痕跡が見られたのです。そのリングのギャップは規定値より気持ち
大きいくらいなのです。これは微妙ですね。恐らく、規定値で組めばリングがボアに張り付いて
焼き付く恐れがあります。このエンジンはオリジナルより22cu.inも排気量が多い訳ですから
発熱量も異なり、ファクトリー・データは参考にならず。この辺、水冷ならば楽なのですけどね。
結局、純正の最大値よりやや広めの .027インチ としました。自信を持った勘です(笑)。
ブローバイは少々増えるかも知れませんが、オイル上がりを起こす程では無い筈。リングが
張り付いて焼けるよりはマシです。

ところで、腰上OHはサンデー・メカニックにも簡単なので、日本でも割とポピュラーな様です。
しかしその後に焼き付かせてしまう例も多いと聞きました。「慣らしが不十分だった」あたりの
原因究明に落ち着いているようですが、私的には恐らくこのリング・ギャップ不適切によるもの
ではないかと想像します。オーバーサイズ・ピストンは段階的に決まったサイズが用意されて
おり、シリンダーはそのサイズに合わせてマシン・ショップが削るので(つまりピストンを造った
のもシリンダーを削ったのも工場)間違いは起こりませんが、ピストン・リングは組み上げるメカ
ニックのギャップ調整(専用のヤスリやグラインダーで削る)に任されるからです。これを怠って
新品をそのまま組んだりすると、焼き付く可能性は大です。







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完成写真&走行動画

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