M1ナショナルマッチ(NM)

競技用と言っても外見は軍用と殆ど変わりません。この辺シブ味があって実に格好よいですね。パッと見は
ノーマルで、精度はビシビシ!バレルもヘビー・バレルではなく、外見的には極普通のセレクト品です。

M1のナショナルマッチは1953年〜1963年まで製造されました。その間で様々な仕様が造られましたが、
大雑把に分けると、新品のレシーバーから製造された新銃と既存の古い銃を改装したリビルド版となります。
最初の1953年だけは新品のみ生産されましたが(800丁)、1954年〜1959年までは新品とリビルドの
両方が生産されます(新品の生産割合が高く、リビルドは少数)。しかし1960年、新品レシーバーの在庫が
尽きた事から(この時、既にM1は現役を退いている)1960年〜1963年までリビルド・オンリーとなります。

現在はバージョンを細かく分類し、タイプ1A タイプ1B タイプ2 タイプ3A タイプ3B タイプ3C タイプ3D
と呼びます。それぞれがどう異なるか?ここでは説明し切れません(笑)。では写真の銃はどのモデルか?
これから細部を見て判断しましょう。







後付けのトリガーシュー(非オリジナル)

誤解を招くとマズイので「写真のトリガーシューは非オリジナル」と、先ずお断りしておきます。ルールにも違反して
いると思います。まあ簡単に外せますからね。レシーバーとストックの合わせ目で、サイトノブの下あたりに隙間が
あるのが分かりますか?この部分は浮かせてあるのです。ボルトアクションでのべディングでも同じですが、全面
密着させるのではなく、フロント・スクリュー(前方の固定ネジ)とリア・タング(後方の固定ネジ部)の2箇所のみを
ピッタリと合わせるべディング方法があります。M1ナショナルマッチにレシーバー固定スクリューはありませんが、
同じ理屈で前と後ろの2箇所を正確に密着させています。前後2箇所に分割する方法は、途中にマガジンが装備
される狩猟用や軍用銃に多いです。マガジンが無い単発の競技用ならば、前後にベタ〜!っと遠慮なく(?)密着
させる事が可能ですからね。M1・NMのべディング部分は後のページで詳しい写真を紹介します。

トリガー・ガードは後期型のプレス製です。分解時に弾薬の先端(などの突起物)を引っ掛ける穴がありません。
このタイプに移行したのはシリアルナンバー3,000,000からと記録されていますが、この銃のシリアルは↓の
様に1,000,000台です。本来ならば初期型が付く筈。つまり、この銃はリビルド版のNMと言う事になります。
リビルドした際に、邪魔なコブが付く初期型は、写真の後期型に換えられたのでしょう。

トリガー・メカは基本的にノーマルと同じですが、プル・ウェイトやエンゲージなどはチューンされています。後から
調節するアジャスター類は備えません。ただ、M1ガランドはノーマルでもトリガーのキレはシャープですけどね。
ボルト・アクションのKar98kや九九式などよりも、ずっと優れたトリガー・フィールです。もっとも、軍用の場合は
実戦にて緊張のあまり暴発させる危険性があるので、シャープなトリガーが必ずしも良いとは限りませんが・・・







フード付き可変ピープ・サイト

ピープ・サイトは基本的にノーマルですが、ピープ(ホール)が小さく、周りには光線避けの筒状フードが付属します。
これによって、環境光の影響を受ける事無く、真っ黒な中にクッキリとフロント・サイトを映す事が出来ます。競技では
フロント・サイトとリア・サイトとの見出しが特に重要ですからね。写真のサイトは効果が高いです。これで射撃した後、
ノーマルのガランドを撃つと、ピープがデカ過ぎて戸惑う程です。但し、実戦ならば小さなピープは素早い照準の妨げ
となるので命取りです。それでなくても当時、リアに接眼する精密射撃向きのピープ・サイトを用いたのは米軍くらい
なものですからね・・・

ああ、イギリスのNo.4小銃も同様のタイプでした。しかしNo.4の接近戦闘用のピープは、ガーランドの3倍くらいの
速射向き大穴です。現在のアサルト・ライフルでは、M16系がリアにピープ・サイト、AK系はミッドにオープン・サイト、
どちらが良いか?難しい選択です。私的に、純粋なアサルト・ライフル(接近戦闘用)としてならば後者ですが、遠射も
考えるならば前者です・・・

脱線しましたが、「可変」とは何の意味か?これは下の写真で説明します。

追記
余談ですがM1ガランドでは、リア・サイトのピープ部分の部品を「アパーチュア【aperture】」と呼びます。光を通す穴と
言う意味でしょうね。







フード付きピープの取り付け部

フード付きピープは付け根が C クリップで固定されています。このフードを180°回す事で穴が上下に移動、
上下の着弾点が1/2MOA変化するギミックがあります。どの状態にあるか目視出来るように、筒にはノッチが
刻んであります(これは一つ上の写真で、筒の下側に注目して下さい)。で、この理由なんですが・・・今ひとつ
ハッキリしません。今度ルールに詳しい人に聞いてみます。ハンドガンのPPCマッチ用のアジャスターみたいな
物かなァ?

追記
上記の理由について思い当たるフシがありました。M1ガランドは通常M2ボール弾薬を使用しますが、競技や
狙撃用の場合、高精度のM72弾薬を使います。この2種では当然バリスティックが異なります。この2段切り
替えピープは、それに対応する為の物だと思います。両弾薬をチェンジした際、ピープを180°回せば簡単に
バリスティックの変化に対応でき、エレベーション・ノブは補正しなくても通常通りに使えます。違うかな?


1959年のタイプ3A以降、サイトはNMに改装された時にウィンデージ(左右)アジャストのクリック間隔が変え
られ、ノーマルの1クリック1MOAの移動から、1クリック1/2MOAに変更されています。言うまでも無く、この
方が細かい調整が可能になるからです。更に1962年からはエレベーション側も、1クリック1/2MOA仕様に
なります。写真のサイトは上下共に1クリック1/2MOA仕様です。だんだん正体が分かってきましたね(笑)。







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