
M1ガーランドはレシーバー上部からクリップによる一括装填を行いますので、どうしても真上にスコープを
載せる事が出来ません。他のボルト式狙撃銃ならばクリップ装填さえ諦めれば、隙間から一発づつ込める
事は可能ですが(事実、M1903A4やKar98kのサイドレール・マウントなどは5発クリップが使えない)、
M1ガーランドは必ずクリップを必要とします。クリップが無ければ作動しません(この点は、狙撃銃以外の
M1に於いても大きな欠点ですね)。なので、M1CもM1Dも、スコープは写真の様に大きくオフセットされ
ます。しかし、基本的にスコープとボアラインは上下一直線になる事が好ましく、高い命中精度を追求する
なら、オフセットは避けたかった事と思います。この銃の場合「止むを得ず仕方なく・・・」と言う事でしょう。
この後のM14では、銃下方からのマガジン装填なので、スコープは遠慮なく(?)真上にセットされます。
スコープのフロント・シェードは前後に伸縮します。写真は一杯に伸ばした状態です。内部に見える間隔の
分だけ縮める事が出来ます。
スコープは左オフセットされた上で、可能な限り低くマウントされていますが、御覧の様に通常のアイアン・
サイトは問題なく使用出来ます。M1903A4では、アイアン・サイトは取り外されてスコープのみでしたが、
M1C&Dは両方使えます。この点は開発時の要望事項に含まれていたのですが、何故、両方が使える
点を重視したか?当時のスコープの信頼性が不十分だったのかもしれませんが(壊れた時の非常用に)、
個人的には、接近戦になった時に通常の小銃のように使える点が重視されたのだと考えます。自動銃の
精度はボルト式に劣りますので、元々長距離の狙撃には向きません。この種の半自動小銃+スコープは
ミッドレンジでの連続狙撃がウリです。単独任務で長距離から狙撃するのではなく、一般小・中隊に配備
される狙撃銃です。なので部隊と行動を共にすれば、いずれは敵との距離が縮まる事は必至です。そう
言った接近戦では、スコープは邪魔な存在になってしまいます。
横道に逸れますが、私が空挺部隊で64式狙撃銃を使った際も運用法は2通りに別れ、偵察任務を含めた
長距離一発必中訓練(?)の他に、中隊と行動を共にする狙撃訓練がありました。その場合、実射訓練は
一番遠くを一番最初に担当し、敵との距離が徐々に縮まると言う想定で、号令毎に手前の的に移行します。
300Mくらいから、他の隊員も射撃に加わり、狙撃手は100Mまではスコープを使用しましたが、50Mまで
近付いて鉄的に変わった時点でスコープからアイアン・サイトに替えて連射しました。近距離で素早く撃つ
には、スコープの狭い視野と倍率は邪魔になります。こう言った使用法を経験すると、スコープ+アイアン・
サイトの有効性が理解できます。

一目瞭然!これがオフセットの理由です。互いにギリギリの所で避けていますね。

モノ・マウントなので何となく頼りなくも見えますが(実際ちょっと不安)、レシーバには加工を加えないと言う条件を
上手く(強引に?)クリアしています。アルミ素材のスコープならば、この構造は強度的に無理でしょうね。ポッキリと
折れそうです。またまた余談ですが、IPSC競技銃のダットサイトのマウントも、モノ式だとチューブ本体が度重なる
反動で折れる事がよくありました。コイツ↑はスチールだから大丈夫でしょう・・・

何ともユーモラスなリングですね。御覧の様に上に蝶番があり、下部のヘキサゴン・ボルト2本で締め上げます。
リングは恐らくフォジド(鍛造加工)と思われます。バレルとレシーバー間に挟まれたマウント・ベースに大きな
カップ型スクリューで固定します。このカップ型スクリューは手で回せますが、緩み止めラチェットが刻んであり、
締め込むと「チ・チ・チ」とクリックした後に止まります。私は経験がありませんが、それでも(ラチェット付きでも)
「射撃中に緩む」と言う話を何度か聞きました。点検はマメに行った方が良さそうです。もっとも、簡単に手で締
められますから、時々締める癖を付ければ問題ないでしょう。完全に締めてあれば、グラ付いたりする事はあり
ません。