
ベースはスプリングフィールド製。M1ライフルの狙撃銃化は、採用と同時に進められますが、なかなか軌道に乗らず、
WWU時代は主としてボルトアクションのM1903小銃を狙撃銃に改造した物が、正式狙撃銃として多用されました。
当初M1狙撃銃に要望された点で、「銃本体には加工を施さず、容易に狙撃銃化できるように」と言うのがありました。
しかし採用されたM1狙撃銃は、レシーバー左側面に3つのスクリュー・ホールを設け、そこにマウント・ベースをネジで
固定する方式でした。つまり容易に改造は出来ません。これがM1C狙撃銃です。マウント・ベースはネジ固定ですが、
スコープ&リングはレバーで脱着できます。このマウントはグリフィン&ホーウェ製で、搭載されるスコープは初期に
ライマン製M73及びウェーバー製M73B1、それ以降ライマンM73をベースとしたM81、M82型が使用されました。
ちなみにM81とM82の大きな違いはレティクルで、M81=クロスヘア M82=ポスト です(倍率は何れも2.5倍)。
M1Cは1944年に正式となり、ヨーロッパや太平洋戦線で使用されました。
さて、話がすっかりM1Cになってしまいましたが、このM1Cを更に合理化したのが今回紹介するM1Dです。マウント
・ベースはレシーバへの改造は一切せず、バレルとレシーバーの間に挟み込むタイプです(詳細は後で)。スコープも
新型のM84型になりました(一部初期には旧スコープとの組み合わせあり)。これから詳しく説明しますが、操作性や
量産性、共に大きく向上しています。但し!それ故に、精度が若干犠牲になっている感じがします。つまり、マウントと
スコープの接合部分ですね。まあ、これが問題になった正式な話は聞きませんので、あくまでも私の想像&感想です。
M1Dが採用になったのは1945年ですから、WWUでは殆ど使われておりません。活躍したのは朝鮮戦争ですね。
生産数もM1Cより遥かに多く、マニアが垂涎するのはC型なのですけどね(笑)。Cは現在1万ドル近くするのでは?
Dも値段は上昇する一方で、今は5千ドル前後かな?写真のは程度極上(オリジナル・リコンディション)ですが、当時
2千ドルで買った筈。「2500でダメカナ?」と頼んでいますが、「ダメダヨ」って感じです。

これもベースはスプリングフィールド製。軍で製造した競技用モデルです。
アメリカでは軍用銃による標的射撃競技(サービス・ライフル及びピストル・マッチ)が盛んです。「ナショナル・マッチ」とは
日本で言う「全日本大会」みたいな感じかな?そう言った競技に使用する、特別仕様の高精度M1ガーランドが、写真の
ナショナルマッチ・モデルです。本来は軍で競技用に改装したのですが、最近は銃器メーカーが商品名として使用する
場合も多いです。例えばスプリングフィールド・アーモリー社製M1A(M14の民間仕様)にもナショナルマッチ・モデルが
ありますし、コルト・ゴールドカップ・ナショナルマッチもそうですね。軍が改装したオリジナルは、現在凄いプレミア価格が
付くコレクター・アイテムです。写真のモデルは恐らくオリジナルと思われますが、光沢のあるストックは誰かが後から施し
たのかも知れません。ナショナルマッチ・モデルのフロント及びリアサイトは高精度な物で、リアサイトには遮光シェードが
付き、ピープ(狙う穴)が小さい競技用。バレルも特別製。オペレーティング・ハンドルも異なります。また、ストックとレシー
バーの結合部はべディング加工(密着させる加工)が施されます。細かい部分では、ハンドガードやステーキング・スウィ
ベル(叉銃環)が固着され、共振による命中精度悪化が無いように工夫がされています。ハンドガードは小さな木ネジで
固着されているので、ナショナルマッチ・モデルではハンドガードを持って取り扱う事はタブーです(銃砲店などの展示品
では「この部分を持つな」と言う張り紙がされていたりする)。一気に説明したので、ちょっと分かり難くなりましたが、後で
順に詳しく説明します(また、上記の詳細は年式によっても異なります)。
追記
スプリングフィールド造兵廠と、現在のスプリングフィールド・アーモリー社は異なります。本来のスプリングフィールド
造兵廠は1968年に閉鎖されていますからね。現在のは民間企業です。とは言え、当時の生産設備などを買い取って
M1ガーランドやM1Aを生産していますから、パーツ規格などは造兵廠時代の物と殆ど同じで、互換性もありますよ。